ウェブアクセシビリティと中小企業のホームページ|2024年の法改正で義務になったこと・ならないこと、何から手を付けるか【2026年版】
公開日:2026.10.09 更新日:2026.10.10
- Webサイト保守
- ホームページ制作/リニューアル

記事の監修
IT・WEB集客の専門家
波多野 明仁(Akihito Hatano)
WEB業界歴20年以上。大学生の頃に約50サイトを制作・運営して収益化。ITシステム開発会社でSEを6年間経験したのち独立。東証プライム企業をはじめ、これまでに4,000サイト以上を改善。自社メディアの制作・運営で培ったアクセスアップのノウハウを、クライアント企業のWEB集客に活かしている。1年でアクセス数が715倍になった企業、売上が25倍になった企業など、法人実績多数。
こんにちは、株式会社ソライルの波多野です。
「2024年4月から、ホームページのアクセシビリティ対応が義務になったと聞いた」
「うちのような小さな会社も、対応しないといけないのか」
ウェブアクセシビリティについては、こうした声をよく耳にするようになりました。
インターネット上には「義務化」という言葉が多く並び、何がどこまで求められているのか分かりにくいのが実情です。
この記事では、Webが専門ではない経営者・ご担当者の方に向けて、次のことを順番にご説明します。
- ウェブアクセシビリティとは何か
- 2024年4月の法改正で、義務になったこと・ならないこと
- 中小企業が、何から手を付ければよいか
- 30分でできるセルフチェック
- 「配慮してほしい」と申し出があったときの受け止め方
法律の解釈については、一般的な考え方をご紹介するものです。
個別の判断が必要な場合は、国の相談窓口や専門家にご確認ください。
1. ウェブアクセシビリティとは
誰でも、どんな環境でも使えるようにすること
ウェブアクセシビリティとは、障害のある方や高齢の方を含め、誰もがホームページの情報を得て、使えるようにすることです。
たとえば、次のような方がホームページを見ています。
- 目が見えにくく、画面の文字を読み上げるソフトで聞いている方
- 小さな文字が読みづらく、画面を拡大して見ている方
- 色の見分けがつきにくい方
- 手が不自由で、マウスではなくキーボードだけで操作している方
- 耳が聞こえにくく、動画の音声が聞き取れない方
こうした方が困らないようにすることは、高齢のお客様や、外出先でスマートフォンを片手で使う方にとっての使いやすさにもつながります。
基準になる規格
日本では、JIS X 8341-3:2016 という規格が、ウェブアクセシビリティの基準として使われています。
デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」でも、この規格が基準として挙げられています。
この規格は、国際的な指針である WCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)と内容がそろえられていて、達成の度合いを A・AA・AAA の3段階で示しています。
ただ、規格の文書はとても細かく、中小企業がいきなりすべてを読み込む必要はありません。
この記事では、規格の考え方をもとに、まず取り組みたいことに絞ってご紹介します。
2. 2024年4月の法改正で、義務になったこと・ならないこと
改正されたのは「障害者差別解消法」
2024年4月1日に、改正された障害者差別解消法が施行されました。
この改正で、会社やお店などの事業者にも、障害のある方への「合理的配慮の提供」が義務になりました。
ここでよく誤解されているのが、「ホームページのアクセシビリティ対応そのものが義務になった」という受け止め方です。
3つの言葉を分けて考える
この法律では、事業者に求められることが、大きく3つに分けられています。
| 求められること | どういうことか | 事業者の扱い(2024年4月以降) |
|---|---|---|
| 不当な差別的取扱いの禁止 | 障害を理由に、サービスの提供を断ったり、条件をつけたりしないこと | 義務(以前から) |
| 合理的配慮の提供 | 障害のある方から申し出があったとき、負担が重すぎない範囲で、困りごとを取り除く対応をすること | 義務(2024年4月から。以前は努力義務) |
| 環境の整備 | 申し出を待たずに、あらかじめ、多くの方が困らないように整えておくこと | 努力義務(変わらず) |
国の基本方針では、環境の整備の例として、建物のバリアフリー化などと並んで「情報アクセシビリティの向上」が挙げられています。
ホームページのアクセシビリティ対応は、この「環境の整備」に当たると考えられます。
つまり、ホームページの対応は、今のところ「努めること」とされていて、直接の義務ではありません。
「義務ではない」から何もしなくてよい、ではない
一方で、合理的配慮の提供は義務です。
たとえば、目の見えにくいお客様から「ホームページの内容が読み上げソフトで読めないので、別の方法で教えてほしい」と申し出があったとします。
このときに、電話やメールで内容をお伝えするなど、負担が重すぎない範囲で対応することが求められます。
そして、ホームページを日ごろから使いやすく整えておけば、こうした個別の対応の手間そのものを減らせます。
国の基本方針でも、配慮を必要とする方が多い場合や、長く続く関係がある場合には、環境の整備を進めることが中長期的なコストの削減や効率化につながるとされています。
罰則はあるのか
ホームページのアクセシビリティに対応していないこと自体に、罰則はありません。
法律では、国から報告を求められたのに報告をしなかったり、うその報告をしたりした場合に、過料(20万円以下)の対象になると定められています。
罰則を恐れて慌てるよりも、お客様が困らないホームページにしていく取り組みとして、できるところから始めるのがおすすめです。
3. 中小企業は、何から手を付ければよいか

すべてを一度に整える必要はありません。
費用や手間が少なく、効果の大きいものから順に進めます。
| 順番 | 取り組むこと | なぜ大切か | 主にやる人 |
|---|---|---|---|
| 1 | 問い合わせの方法を、電話・メール・フォームなど複数用意する | 申し出を受け止める入り口になる。合理的配慮の土台 | 社内 |
| 2 | 画像に、内容を伝える説明(代替テキスト)をつける | 読み上げソフトで、画像の内容が伝わる | 社内でもできる |
| 3 | 文字の大きさと、文字と背景の色の差(コントラスト)を見直す | 高齢の方、見えにくい方が読める | 制作会社・保守会社 |
| 4 | リンクやボタンの文言を、行き先が分かる言葉にする | 「こちら」だけでは、どこへ行くか分からない | 社内でもできる |
| 5 | お問い合わせフォームの、項目名・入力の誤りの伝え方を見直す | 入力できずに、あきらめるお客様を減らす | 制作会社・保守会社 |
| 6 | 大切な情報を、PDFや画像だけに載せない | 読み上げソフトや拡大で読めないことがある | 社内でもできる |
| 7 | キーボードだけで操作できるか、動画に字幕があるかを確かめる | マウスが使えない方、耳が聞こえにくい方が使える | 制作会社・保守会社 |
1. 問い合わせの方法を複数にする
最初にやっておきたいのは、ホームページの技術的な対応よりも、問い合わせの入り口を複数用意することです。
フォームが使いにくい方には電話を、電話が難しい方にはメールやフォームを、というように選べるようにしておきます。
お問い合わせのページに「ご不便な点があれば、電話・メールなど、ご都合のよい方法でお知らせください」と一言添えておくだけでも、申し出をしやすくなります。
2. 画像に代替テキストをつける
画像には、読み上げソフトが読む「代替テキスト」をつけられます。
WordPressなら、画像を選ぶと「代替テキスト」という欄が出てきます。
「写真」ではなく、「工事前と工事後の外壁の比較」のように、その画像で伝えたい内容を短く書きます。
飾りだけの画像は、空欄のままで構いません。
3. 文字の大きさと色の差を見直す
薄い灰色の小さな文字は、見た目はすっきりしますが、読みづらい方が多くいます。
本文の文字は小さくしすぎず、文字と背景の色ははっきり差をつけます。
また、「赤い文字のところは必須です」のように、色だけで情報を伝えないようにします。
4. リンクやボタンの文言を見直す
「詳しくはこちら」「クリック」だけのリンクは、読み上げソフトで一覧にしたときに、どこへ行くのか分かりません。
「料金表を見る」「無料相談を申し込む」のように、行き先や内容が分かる言葉にします。
5. お問い合わせフォームを見直す
入力欄には、何を入れる欄かが分かる名前をつけます。
入力に誤りがあったときは、どの欄の、何が違うのかを、色だけでなく文字で伝えます。
時間が来ると入力内容が消えるような仕組みは、ゆっくり入力する方の妨げになります。
6. 大切な情報をPDFや画像だけに載せない
料金表や営業時間、お知らせなどを、画像やPDFだけで載せていることがあります。
画像の中の文字は、読み上げソフトで読めず、拡大すると粗くなります。
大切な情報は、ホームページの本文にも文字で書いておきます。
7. キーボード操作と動画の字幕
マウスを使わず、キーボードのTabキーだけで、メニューやボタン、フォームにたどり着けるかを確かめます。
動画を載せている場合は、字幕をつけるか、内容を文章でも書いておきます。
4. 30分でできるセルフチェック
専門の道具がなくても、次の5つでおおまかな状態が分かります。
- スマートフォンで、文字の大きさを最大にしてホームページを開く。文字が重なったり、はみ出したりしないか
- パソコンの画面を白黒にして見る(設定の「色のフィルター」などで切り替えられます)。色だけで区別している所がないか
- マウスを使わず、Tabキーだけで、メニュー・お問い合わせのボタン・フォームまで進めるか。今どこを選んでいるかが見えるか
- 主な画像に、内容を伝える代替テキストがついているか(WordPressのメディアの画面で確かめられます)
- 料金・営業時間・お知らせなど、大切な情報が画像やPDFだけになっていないか
総務省が提供している「miChecker(エムアイチェッカー)」という無料の検証ツールもあります。
ただし、ツールで見つかるのは一部の問題だけで、最後は人の目で確かめることが大切です。
5. 「配慮してほしい」と申し出があったときの受け止め方
合理的配慮の提供で大切なのは、申し出があったときに、一緒に解決の方法を考えることです。
- 申し出を受ける窓口(担当者)を決めておく
- 困っていることを、具体的に聞く
- すぐにできる代わりの方法(電話・メール・郵送・説明の文書など)を提案する
- 難しい場合は、その理由を伝え、別の方法を一緒に考える
ホームページそのものをすぐに直せなくても、別の方法でお伝えすることで解決できることが多くあります。
迷ったときは、内閣府が設けている障害者差別に関する相談窓口「つなぐ窓口」に相談できます。
6. やりがちな失敗
1. 一度にすべてを直そうとする
規格をすべて満たそうとすると、費用も時間も大きくなり、途中で止まってしまいがちです。
順番を決めて、少しずつ進めるほうが、結果として長く続きます。
2. 表示を切り替えるだけのツールで済ませる
ホームページに、文字の大きさや色を切り替えるボタンを追加するツールがあります。
便利な面もありますが、それだけで、読み上げソフトでの読みやすさやキーボード操作など、ほかの問題まで解決するわけではありません。
3. 新しいページを作るたびに、元に戻ってしまう
一度直しても、新しいお知らせや画像を追加するたびに、代替テキストのつけ忘れなどが起こります。
社内で更新する方向けに、「画像には説明をつける」「リンクは行き先が分かる言葉にする」といった、簡単な決まりを用意しておくと安心です。
7. ご自身で進めるか、任せるかの目安
| 取り組み | ご自身で | 専門家に任せる |
|---|---|---|
| 問い合わせの方法を増やす、案内の一文を添える | できます | ― |
| 画像の代替テキスト、リンクの文言、PDFの内容を本文に書く | できます(量が多ければ任せる) | 量が多い、更新の決まりも作りたい |
| 文字の大きさ、色の差、フォームの作り | ― | テーマやデザインの調整が必要なため任せるのが安心 |
| キーボード操作、規格に沿った確認 | ― | 専門の確認が必要なため任せるのが安心 |
相談するときに伝えること
- ホームページのURL
- 主なお客様の年代や、気になっている点(文字が小さい、フォームが使いにくいなど)
- 社内でホームページを更新している人がいるか
- 予算と、いつまでに進めたいか
8. ソライルの保守での見守り方
ソライルのホームページ保守では、WordPressのサイト向けのスタンダードプラン以上で、WordPress本体・プラグイン・テーマの更新と、更新後の表示確認を毎月行っています。
アクセシビリティについても、「どこから手を付ければよいか分からない」という段階からご相談いただけます。
今のホームページを拝見して、費用や手間の少ないところから、優先して直すところをご提案します。
ソライルはお客様に2つのことをお約束しています。
毎月、必ずサイトを確認します。
毎月、月次報告をメールにてお送り致します。
月次報告はスタンダードプラン以上が対象で、ライトプランではオプションで追加できます。
9. まとめ
- 2024年4月の法改正で義務になったのは「合理的配慮の提供」。ホームページの対応は「環境の整備」に当たると考えられ、努力義務
- 義務でなくても、日ごろから整えておけば、個別の対応の手間を減らせる
- まずは問い合わせの方法を複数にし、画像の説明・文字と色・リンクの文言・フォームの順に進める
- 一度に全部ではなく、順番を決めて少しずつ。新しいページでも続けられる決まりをつくる
「うちのホームページで、どこから手を付ければよいか知りたい」と思われたら、ソライルの無料サイト健康診断をご利用ください。
フォームにURLを入れて送っていただくだけで、通常1営業日以内に、メールで所見をお返しします。
営業のお電話はいたしません。
ホームページの更新と確認を、毎月まとめて任せたい方は、ホームページ保守サービスのページもご覧ください。
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よくある質問
Q. 中小企業のホームページも、アクセシビリティ対応が義務になったのですか?
A. 2024年4月の法改正で義務になったのは、障害のある方から申し出があったときの「合理的配慮の提供」です。
ホームページのアクセシビリティ対応は「環境の整備」に当たると考えられ、今のところ努力義務とされています。
Q. 対応しないと罰則がありますか?
A. ホームページの対応をしていないこと自体に、罰則はありません。
法律では、国から報告を求められたのに報告しなかった場合などに、過料の対象になると定められています。
Q. JIS規格の「AA」まで対応しないといけませんか?
A. 中小企業が、最初からすべてを満たす必要はありません。
この記事でご紹介した順番で、できるところから始めるのがおすすめです。
Q. ホームページを作り直さないと対応できませんか?
A. 画像の代替テキストや、リンクの文言、問い合わせの方法などは、今のホームページのままでも直せます。
文字の大きさや色、フォームの作りは、デザインの調整が必要になることがありますが、作り直しまでは必要ないことも多くあります。
Q. 対応すると、検索の順位は上がりますか?
A. アクセシビリティの対応が、そのまま検索の順位を上げるわけではありません。
ただ、画像の説明や分かりやすい見出し・リンクは、検索エンジンにも内容が伝わりやすくなり、使いやすいサイトはお客様に長く見てもらえます。
Q. 申し出にどう対応すればよいか分からないときは?
A. まずはお客様の困りごとを具体的に聞き、電話やメールなど、別の方法でお伝えできないかを考えます。
判断に迷うときは、内閣府の「つなぐ窓口」などの相談窓口にご相談ください。
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