ChatGPTに入れてよい情報、ダメな情報|中小企業の生成AI情報漏洩対策

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記事の監修

IT・WEB集客の専門家

波多野 明仁(Akihito Hatano)

WEB業界歴20年以上。大学生の頃に約50サイトを制作・運営して収益化。ITシステム開発会社でSEを6年間経験したのち独立。東証プライム企業をはじめ、これまでに4,000サイト以上を改善。自社メディアの制作・運営で培ったアクセスアップのノウハウを、クライアント企業のWEB集客に活かしている。1年でアクセス数が715倍になった企業、売上が25倍になった企業など、法人実績多数。

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こんにちは、株式会社ソライル Web集客コンサルタントの波多野です。

「うちの社員が、お客様からもらった見積書をそのままChatGPTに貼り付けて要約させていた」。先日、ある中小企業の社長さんから、青い顔でこんな相談を受けました。悪気があったわけではありません。仕事を早く終わらせたかっただけです。それでも、社長さんの頭には「これは、外に出してはいけない情報だったのでは」という不安がよぎった。

生成AIは便利です。使わない手はありません。ただ、使い方を決めないまま社員に任せると、情報が漏れる入り口になるのもまた事実です。そして厄介なことに、この漏れ方はハッキングのように派手ではなく、誰も気づかないまま静かに起こります。

この記事では、ITの専門部署を持たない中小企業の経営者に向けて、生成AIから情報が漏れる仕組み、今すぐ確認すべき設定、そして「何を入れてよくて、何を入れてはいけないのか」の線引きを、専門用語をかみ砕いて解説します。最後に、そのまま社内で使える利用ルールの雛形も用意しました。

生成AIの情報漏洩は、ハッキングではなく「入力」から起きる

まず、いちばん大事なところからお話しします。生成AIをめぐる情報漏洩のほとんどは、外部の攻撃者がシステムに侵入して起きるものではありません。自社の社員が、自分の手で情報を打ち込んだ結果として起きています

つまり、ファイアウォールを強くしても、ウイルス対策ソフトを入れ替えても防げません。防げるのは、ルールと設定だけです。ここを取り違えると、お金をかけた対策が的外れになります。

実際に起きているのは、この3つの型

相談を受けていて多いのは、次の3パターンです。どれも、悪意のない普通の社員が、良かれと思ってやったことばかりです。

  • 資料をまるごと貼り付けてしまう型:見積書、契約書、顧客リスト、議事録などを、そのままコピーして「要約して」「校正して」と頼む。中には取引先の会社名や担当者名、価格条件がそのまま入っています。
  • 相談のつもりで社内事情を書いてしまう型:「うちの会社では来期から◯◯という新事業を始めるのですが、どう進めるべきですか」といった相談。まだ公表していない経営情報が、そっくりそのまま入力されます。
  • 個人のアカウントで業務をしてしまう型:会社が何も用意していないため、社員が自分の私用アカウントで無料版を使う。会社からは何をどう入力したか一切見えず、退職時に持ち出されたかどうかも確認できません。

3つ目が、実はいちばん怖い状態です。会社が禁止も許可もしていない「見えない利用」が、いま多くの中小企業で起きています。

入力した内容は、どこへ行くのか

「入力した内容が学習に使われる」という話を聞いたことがあると思います。これは、サービスと契約の種類によって扱いがまったく違います。ざっくり言えば、次のようになります。

個人向けの無料版・有料版では、初期設定のままだと入力した内容がサービスの改善(AIの学習)に使われる場合があります。学習に使われると、その情報がAIの中に取り込まれ、将来どこかで別の誰かへの回答に影響する可能性が理屈のうえでは残ります。他社の担当者の画面に自社の見積金額がそのまま表示される、といった単純な話ではありませんが、「外に出した情報は、こちらの管理下から離れる」ことに変わりはありません。

一方、法人向けのプランやAPI経由での利用では、入力内容を学習に使わないことが契約上、明記されているのが一般的です。ここが個人利用と法人利用の決定的な違いです。

そしてもう一つ、見落とされがちな問題があります。アカウントの乗っ取りです。個人アカウントのパスワードが使い回されていれば、過去の会話履歴ごと第三者に見られます。生成AIの会話履歴には、その人が仕事で扱ってきた情報が驚くほど克明に残っています。

まず確認したい、自社が使っているAIの契約と設定

机に置かれたノートパソコン 生成AIの契約と設定を確認する

対策の第一歩は、新しいものを買うことではありません。いま社内で何がどう使われているかを把握することです。

無料版・有料版・法人版で、扱いはこう違う

ChatGPTを例にすると、大きく3つの層があります。

  • 無料版・個人有料版:個人が自分の判断で使うもの。初期設定では入力内容が学習に使われる可能性があり、会社側からは利用実態が見えません。業務での常用には向きません。
  • 法人向けプラン(Team、Business、Enterpriseなど):入力内容を学習に使わないことが原則で、管理者がアカウントを一括で管理できます。退職者のアカウントを止めることもできます。
  • API連携・自社システム組み込み:自社のシステムに組み込んで使う形。学習に使われない前提で、細かな制御ができます。

ほかのサービス(Google GeminiやMicrosoft Copilotなど)でも、考え方は同じです。個人の契約か、会社の契約か。ここでほとんどが決まります。

ChatGPTで今すぐ確認できる設定

個人版を当面使い続ける場合、最低限やっておきたい設定があります。ChatGPTでは、設定画面の「データコントロール」に、入力内容をモデルの改善に使わせるかどうかの項目があります。これをオフにすると、自分の入力が学習に使われないようにできます。

あわせて、会話履歴の扱いも確認してください。共有端末を使っている場合、履歴がそのまま次の人に見えることがあります。設定画面の場所や名称はサービス側の更新でよく変わりますので、半年に一度は見直すつもりでいてください。

会社として使うなら、法人プランが原則

結論としては、業務で継続的に使うなら法人向けプランに切り替えるのが最も確実です。費用は一人あたり月数千円程度で、社員一人の残業を1〜2時間減らせれば元が取れる水準です。

それ以上に大きいのは、「会社が用意したものを使ってください」と言える状態になることです。会社が何も用意しないまま「使うな」とだけ言うのが、いちばん危ない状態を作ります。

ChatGPTに入れてよい情報、入れてはいけない情報

社員が本当に知りたいのは、「結局、何を入れていいのか」です。ここが曖昧なままだと、真面目な人ほど使えなくなり、そうでない人は気にせず使い続けます。線引きをはっきりさせましょう。

入れてはいけない情報

  • お客様の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報
  • 顧客リスト、名簿、アンケートの生データ
  • 取引先との契約書、見積書、発注書の現物
  • まだ公表していない価格、原価、利益率
  • 採用の応募書類、人事評価、給与に関する情報
  • 社内システムのIDやパスワード、サーバーの設定情報
  • 秘密保持契約(NDA)を結んで受け取った資料

特に最後の一つは重要です。NDAを結んで預かった資料を外部サービスに入力することは、契約違反になり得ます。相手の会社に説明できないことは、やらないのが原則です。

ひと手間かければ入れてよい情報

実務では、「この資料をAIに整理させたいが、そのままはまずい」という場面が頻繁にあります。このときは、固有名詞と数字を伏せてから入力します

たとえば「株式会社◯◯様への提案書」なら、会社名を「A社」に、担当者名を「B様」に、具体的な金額を「◯◯万円」に置き換えます。文章の構成や言い回しを整えてもらうだけなら、これで十分に役に立ちます。この作業自体は1〜2分で終わります。

気にせず入れてよい情報

  • すでに自社サイトやパンフレットで公開している内容
  • 一般的な業界知識や、調べれば分かること
  • 自分で書いた文章の推敲、誤字脱字のチェック
  • アイデア出し、たたき台づくり、企画の壁打ち
  • メールの文面の下書き(宛名と固有名詞を入れる前の段階)

この範囲だけでも、生成AIは十分すぎるほど仕事を助けてくれます。「危ないから全面禁止」ではなく、「この範囲なら安心して使ってください」と示すことが、経営者の仕事です。

中小企業が今日から作れる、生成AI利用ルール7項目

机を囲んで話し合う社員 生成AIの利用ルールを決める

立派な規程は要りません。A4一枚で十分です。次の7項目を自社の言葉に直して、朝礼で共有するところから始めてください。

  • 1. 会社が指定したアカウントを使う:私用アカウントでの業務利用は行わない。会社が用意していない場合は、まず総務に相談する。
  • 2. お客様と取引先の情報は入力しない:氏名、連絡先、契約書、見積書はそのまま入力しない。伏せ字にしてから使う。
  • 3. 未公開の社内情報は入力しない:価格、原価、人事、新規事業など、社外に出していないことは入力しない。
  • 4. 出てきた答えは必ず人が確認する:AIは事実でないことをもっともらしく書く。数字と固有名詞は必ず裏を取る。
  • 5. お客様に出す文章は、そのまま使わない:AIの文章を土台にしてよいが、最後は自分の言葉に直してから出す。
  • 6. 迷ったら聞く:入力してよいか判断できないときは、入力する前に上長に確認する。聞いたことを責めない。
  • 7. 何に使っているかを共有する:便利な使い方を見つけたら社内で共有する。隠して使う状態を作らない。

7項目目を、私はとても大事にしています。ルールの目的は、社員を縛ることではなく、安心して使える状態を作ることだからです。共有される会社では、危ない使い方も早く見つかります。

それでも「禁止」で終わらせてはいけない理由

ここまで読んで、「面倒だから、うちは全面禁止にしよう」と思われた方がいるかもしれません。その気持ちは分かります。ただ、経験上、それは最も危ない選択です。

禁止すると、見えないところで使われる

全面禁止にした会社で実際に起きるのは、「使われなくなること」ではなく「報告されなくなること」です。スマートフォンで、私用アカウントで、誰にも言わずに使われます。会社が把握できない利用ほど、危険なものはありません

これは、かつて多くの会社が私物のUSBメモリやフリーメールで通った道と同じ構図です。禁止ではなく、安全な選択肢を用意することでしか解決しません。

中小企業こそ、AIの恩恵が大きい

そしてもう一つ。人手が限られている中小企業ほど、生成AIで得られるものは大きいのです。企画書のたたき台、メールの下書き、議事録の整理、ブログの構成案など、これまで「時間がなくてできなかったこと」が、できるようになります。

私自身、Web集客の現場でAIを毎日使っています。使わない選択をした会社と、安全に使いこなす会社の差は、これから年単位で開いていきます。守りを固めることと、攻めることは、両立できます

ソライルがお手伝いできること

株式会社ソライルでは、累計4,000サイト以上のWebサイトの改善に関わってきました。近年は、Webサイトのセキュリティや保守と合わせて、「社外に出せない情報を抱えた中小企業が、それでも安全に生成AIを使うにはどうすればいいか」というご相談も増えています。

自社の情報の中で何が守るべきもので、どこまでなら外に出してよいのか。その線引きは、業種によっても、取引先との契約によっても変わります。判断に迷われたときは、お気軽にご相談ください。ITの専門用語を使わずに、その会社に合った形でご説明します。

中小企業の生成AI情報漏洩対策、まとめ

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 生成AIの情報漏洩は、外部からの攻撃ではなく社員の「入力」から起きる。防げるのはルールと設定だけ
  • 個人アカウントでの業務利用が、いちばん危険な「見えない利用」を作る
  • 業務で使うなら法人向けプランに切り替えるのが最も確実。学習に使われない契約になっている
  • 個人版を使うなら、データコントロールの設定で学習をオフにする
  • お客様情報・契約書・未公開の社内情報は入力しない。固有名詞と数字を伏せれば使える場面は多い
  • A4一枚のルールを作り、朝礼で共有する。全面禁止は、隠れた利用を生むだけ

生成AIは、正しく怖がって、正しく使えば、中小企業にとって心強い味方になります。「よく分からないから触らない」で止まってしまうのが、いちばんもったいない。まずは自社で誰がどう使っているかを聞いてみるところから、始めてみてください。

よくある質問

Q. 無料版のChatGPTを業務で使うのは、絶対にだめですか?

絶対にだめとまでは言いません。公開済みの情報しか扱わない、固有名詞は必ず伏せる、という条件を守れるなら、無料版でもできることはあります。ただし会社側から利用実態が見えないため、継続して業務に使うのであれば法人向けプランへの切り替えをおすすめします。

Q. 一度入力してしまった情報は、取り消せますか?

会話履歴を削除することはできますが、すでに学習に使われた可能性がある場合、完全に取り消すことはできません。心当たりがある場合は、その情報が第三者との契約に関わるものかを確認し、必要なら取引先への報告も含めて対応を検討してください。今後は同じことが起きないよう、設定とルールを整えることが現実的な対処になります。

Q. 社員が何人からルールを作るべきですか?

人数は関係ありません。社長お一人の会社でも、ルールは作る価値があります。自分の中で線引きが決まっていないと、忙しいときに判断がぶれるからです。一人であれば、A4一枚どころか数行のメモで十分です。

Q. AIが書いた文章をそのままホームページに載せてもいいですか?

載せること自体は問題ありませんが、おすすめはしません。事実関係の誤りが混ざる可能性があるうえ、その会社らしさが消えた文章は読み手に伝わりません。AIには構成やたたき台を作らせ、中身は自分の言葉で書く。この使い分けが、結果としてもっとも効率的です。

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